インボイス制度(課税事業者の立場から)

インボイス制度のメリットやデメリットも知りたい!

\ わかりやすく徹底解説 /

インボイス制度
課税事業者の立場から

課税事業者とは

消費税の申告や納付の義務がある事業者を指します。具体的には、事業年度の売上高が1,000万円を超える事業者が該当します。例えば、年間売上が1,200万円の小売店は課税事業者として消費税の申告を行う必要があります。インボイス制度下では、課税事業者は「適格請求書」を発行し、取引先に提供することで、取引先が消費税の控除を行う根拠とします。逆に、課税事業者が商品やサービスを購入する際には、取引先から適格請求書を受け取り、これを基に消費税の控除を行います。このように、課税事業者はインボイス制度の中心的な役割を果たし、正確な消費税の申告や納付を行う責任があります。

インボイス制度とは?

インボイス制度は、消費税の取り扱いに関する新しい仕組みです。この制度の下で、課税事業者は取引時に「適格請求書」という特定のフォーマットの請求書を発行・受領することが中心となります。この適格請求書には、取引の内容や消費税額が明記され、これが消費税の控除の根拠となります。例えば、A社(課税事業者)がB社(課税事業者)に商品を販売した場合、A社はB社に適格請求書を発行します。B社はこの請求書を基に、支払った消費税額を控除できます。この制度の導入により、消費税の控除がより明確かつ透明になり、二重課税の防止や適切な税収の確保が期待されます。課税事業者は、この新しい仕組みに適応するための準備や対応が求められます。

消費税の控除とは?

課税事業者がインボイス制度下で商品やサービスを購入する際、支払う金額には消費税が含まれています。この支払った消費税の一部を「控除」として取り戻すことができます。例を挙げると、A社が商品を10万円(税抜)で購入し、消費税率が10%の場合、消費税は10,000円となり、合計で110,000円を支払います。この10,000円が「仕入税額」として控除の対象となります。一方、A社が自らの商品を販売して得た消費税を「売上税額」と言います。例えば、売上税額が15,000円の場合、A社はこの15,000円から先ほどの仕入税額10,000円を控除し、実際に納税すべき消費税は5,000円となります。このように、インボイス制度では、適格請求書を基に正確な消費税の控除を行うことができます。

インボイス制度のメリット・デメリット

メリット

明確な控除根拠

適格請求書を発行・受領することで、消費税の控除根拠が明確となり、税務調査時のリスクが低減します。

取引信頼の向上

適格請求書発行事業者としての登録は、取引先に対して信頼性や透明性を示すものとなり、ビジネスの信頼関係を強化する要因となります。

二重課税の回避

適格請求書の発行・受領により、取引先との間での消費税の二重課税を効果的に回避することができます。

デメリット

手続きの負担

適格請求書の発行や管理には手間がかかり、特に多くの取引を行う事業者にとっては、その手続きや管理の負担が増大する可能性があります。

システム導入のコスト

適格請求書を効率的に発行・管理するためのシステム導入や更新が必要となり、それに伴うコストが発生します。

情報共有の必要性

取引先との間で適格請求書の発行・受領のタイミングや内容についての情報共有が必要となり、コミュニケーションの取り組みが増える可能性があります。

売上1,000万円以下でも消費税を納付するの?

はい、その通りです。売り上げが1,000万円を下回る事業者は、通常「免税事業者」として消費税の申告や納付の義務がありません。しかし、自らの意思で「課税事業者」になることを選択した場合(課税の選択)、その事業者は消費税の申告や納付の義務が生じます。

具体的には、課税事業者として登録すると、売上に対する消費税を請求することができる一方で、その請求した消費税を国に納付する義務が生じます。また、仕入れにかかった消費税については、仕入税額控除として控除することができます。

このように、売り上げが1,000万円を下回る場合でも、課税事業者に選択的に登録することで、消費税の申告や納付の義務が生じることを理解しておく必要があります。

課税事業者ならインボイスが発行できる?

いいえ、課税事業者であるというだけでは、インボイス制度下での「適格請求書」の発行は許されません。インボイス(適格請求書)を発行するためには、事業者は「適格請求書発行事業者」としての登録が必要です。例えば、A社が課税事業者である場合、単に消費税の申告や納税の義務があるだけでは、B社やC社などの取引先に対して適格請求書を発行することはできません。A社が適格請求書を発行するためには、税務署に適格請求書発行事業者としての登録を行う必要があります。この登録をしない限り、A社はインボイスを発行する資格を持たないため、取引先に対して消費税の控除の根拠となる請求書を提供することができません。この点を理解し適切な手続きを行うことが、インボイス制度を円滑に利用するための鍵となります。

インボイス制度における経過措置期間とは?

インボイス制度における「経過措置期間」とは、新しい消費税の取り扱い方法であるインボイス制度が導入された際、事業者がこの新制度に適応するための一時的な猶予期間を指します。この期間中は、旧制度と新制度の双方のルールを一定の条件下で適用することができる特例が設けられています。これにより、事業者は急な変更に対応する負担を軽減し、スムーズに新制度への移行を進めることができます。経過措置期間は、インボイス制度の導入初期に設定され、その期間が終了すると、全ての事業者は新制度のルールに従う必要があります。この期間は、事業者が新しい制度に適応するための「慣れる時間」や「準備の時間」と考えることができます。

インボイス制度は2023年10月1日からスタートしますが、全ての事業者が即座に新制度に適応するのは難しいと考えられるため、経過措置期間が設けられています。

経過措置期間の期日

2023年10月1日から2025年9月30日までの2年間が経過措置期間とされています。

期間中の取り扱い

この期間中、課税事業者はインボイス制度の適用を選択することができます。つまり、適格請求書を発行するかどうかを選べる期間となります。例えば、A社(課税事業者)がこの期間中にB社(課税事業者)に商品を販売した場合、A社はB社に適格請求書を発行することも、従来の請求書を発行することも選択できます。

経過措置期間後の取り扱い

2025年10月1日以降は、インボイス制度が完全に施行され、課税事業者は適格請求書の発行が必須となります。この時点で、取引先との間で適格請求書の発行・受領が通常の取引の中で必須となります。

よくある質問と回答

適格請求書発行事業者の登録をしたが、一時的に業務を休止することになった。この期間中の取り扱いはどうなるのか?

業務休止中も適格請求書発行事業者としての登録は継続されます。ただし、再開時には、税務署への届出や適格請求書の発行・受領の手続きを適切に行う必要があります。

適格請求書のフォーマットは固定されているのか?自社のシステムに合わせたカスタマイズは可能か?

適格請求書には必要な項目が定められていますが、デザインやレイアウトは自社のシステムやニーズに合わせてカスタマイズすることができます。

海外の取引先との間での取引において、適格請求書の発行はどのように行うべきか?

海外取引先への適格請求書の発行も、国内取引と同様に行う必要があります。ただし、言語や通貨などの点での調整が必要となる場合があります。

適格請求書の電子的な発行・受領は認められているのか?

はい、電子的な形式での適格請求書の発行・受領も認められています。ただし、データの改ざんや紛失がないよう、適切なセキュリティ対策を講じる必要があります。

適格請求書の保存期間や保存方法には特別な規定はあるのか?

適格請求書は、消費税法に基づく帳簿や書類の保存期間と同様、7年間保存する必要があります。電子的な形式で保存する場合も、原本としての信頼性を確保するための措置が求められます。

インボイス制度についての動画

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